いきなり引用。
無冠の五将とは、漫画『黒子のバスケ』に登場する特定のキャラクター達の総称である。 帝光中学時代無敵を誇った「キセキの世代」と同時期に活躍した5人を総称して「無冠の五将」と呼ぶ。 キセキの世代の強さゆえに、才能がありながらタイトルを手にできなかったため無冠と名付けられた。
そう、ヒルクライム界でも本来エキスパートクラスの実力の持ち主が年代別に参戦することは稀によくある。それは単にその大会にエキスパートクラスが設けられてなかったり、本人の気まぐれ?によりだったりと理由は様々である。
私も昨年あたり「マイナー大会のしかも初開催だから大丈夫っしょ!」と意気揚々に第一回こてやんタイムトライアルに参加したところ、キセキの世代クラスの実力者に完膚なきまでにボコボコにされた覚えがある。
全体トップのやつがなんでお前エキスパートクラスじゃないんや!!
そして前回、今年のやいた八方ヶ原ヒルクライムも同じ彼に同じ展開でボコボコにされた。
しかし、彼に負け、八方ヶ原ヒルクライムでは年代別2位だったのは事実だが、3位の人とは明らかな実力差があったと(個人的に)思っている。
ワンチャン、スタートダッシュさえミスらなければ1位の彼にもついていけたのでは...??
一年前は冗談で言っていた同じ負けゼリフが、今年のレース後は結構ガチで思っていたりした。
俺はまだ高く翔べるのか・・・?
さらなる高みへと登れるというのか・・・??
前回2018年の嬬恋キャベツヒルクライム
結果は過去記事の通りだが、私は男子A(29歳以下)年代別2位である。
そして今回も年代別への参加である。
これが果たして何を意味するか。
例えば、赤城山ヒルクライムでは年代別表彰者上位3名は次年は年代別ではなくエキスパートクラスで出場しなければならない。
嬬恋ヒルクライムではそのような規定は(たぶん)ないが、暗黙のルールというものもあるのかもしれない。
だからこそ、
だからこそだ。
昨年2位だったからこそ今年は1位を獲りにいく。
昨年2位なのだから1位は獲れて当たり前。
去年2位のクセに今年も年代別で出て2位かよwww
m9(^Д^)
↑この顔文字懐かしい...
という誹謗中傷は容易に想像できる。
もはや負けることを許されない彼にかかるプレッシャーはおそらく他の参加者の比ではない...
あーなんか今日天気曇ってるし
てきとうに優勝できそうだわ~←曇り好き
比ではない...ハズだ。
まあざっくり言うと勝ちを狙ってみました。
大きな大会を走るうえでタイトルを獲ってた方が自分も競走相手も盛り上がって面白いじゃないですか。
最強ヒルクライマーとか仮にも『最強』つけたしね(3年前の自分とか行き当たりばったりで何も考えてないですからね)。
ということで勝つために必要なこと。
そう、それは『戦略』
よしまず坊主にしよう。
床屋オレ「す、すいません・・・あ、あの、髪短く・・・いや、一番長い長さの坊主とかって、で・・・できますか(震え声)」
オッサン「うーーーい」
うし、気合入ったわ。
同僚「お前なにやらかしたんだ?」
俺「えw」
戦略とは。
まあ冗談は髪型くらいにしておいて、競争相手である参加者の確認だ。
レースは相手がいて初めて成り立つものだからな。
嬬恋ヒルクライムはレース当日の何日か前に参加者の一覧リストが張り出される。
今年も1000人規模か・・・
めぼしいヤツは、と・・・
・・・!!
【このとき赤城に電流走る・・・!!】
コイツ・・・
間違いない・・・
昨年だが2018富士ヒルクライム年代別表彰者・・・!!
しかも今年、冒頭で挙げた八方ヶ原で負けた彼に他のレースで勝っている・・・!!
間違いなく大本命。
未知の強敵の出現だったが、これは好機でもあった。
富士ヒルの上位層と一緒に走れる機会などそうそうはない。
推し量るだけだ 近くに見えるあの男と我々の 本当の距離を
相手からしてみれば私はビッグレースでは大した結果の出せていない一般ピーポーに映るだろう。まあ昨年の大会参加者で表彰台のやつという意味では少しくらい注目してほしいが。
今年の富士ヒルゴールドも獲れてないようなやつじゃん。
そう思われて(いや実際わからんがw)悔しいが、そこはノンマークの強みを活かすしかない。
コイツは泳がせておいても大丈夫。
ロードレースとは本来全員が全員集中していれば"逃げ"が成立することはないのだ。
それでも"逃げ"が成立し、はたまたそれが直接"レースの勝利"に結びつくことがあるんだから面白い。
相手の実力を見誤った時。
今回一発限り使える手段として相手の油断(いや実際どうかは本当にわからんよ?w)を利用することにした。
もしも相手が絶対に敵わないようなどんな強敵だったとしても、勝とうとしなければ勝てない。
過去の結果でできるのは予想だけ
相変わらず臭いセリフだけど、そんな考え方が俺は好きなんだよね。
とはいっても、相手は格上なのに間違いないだろう。
おそらく持ってる引力の桁が違う。
ではどうするか。
それはいつものやつで語らせていただくぜぇ・・・
(前置き長ぇ・・・)
【シーン1】スタート前
大本命を生で見た感じ、
脚つきが違う、雰囲気が違う、そしておそらく練習量が違う。
あ、自分視野は広いんですよね。
学生時代水球でもパス出しのポジションやってたし。
ただ、今俺ができるのはウォーミングアップを丁寧にやって自分のやれることを出し切ることだ。
そしてヒルクライムのゲン担ぎ、-翼を授ける-REDBULLを投入。
ちなみにエナジードリンクを飲むことを元気の前借りという表現好きなのだが
今回自分はREDBULLで魂の前借りをすることに。
この年で挑戦者か・・・血沸く血沸く♪
体重は昨年の57.7kgに比べて今年は前日計量を60.6kgで終えるなどややパワー系。
ただ嬬恋ヒルクライムは緩斜面多めの平均勾配緩めなのでそこまで気にならない。
うっし、やるか
諸々の準備におわれ、5分前に整列へと向かう。
(まーた遅刻気味だよ)
【シーン2】アクチュアルスタート~第一給水所
午前9時に年代別最初のグループが号砲とともにスタート。
見た感じ他の年代の有力どころは前方に固まっている様子。
ちなみに今年からなぜか一般の部(年代別)ではパレードランが導入され、ゴール地点が変更ないので、計測区間が純粋に200m短くなり、全長19.6km(昨年まで19.8km)となっている。
自分は昨年ライバル達と切磋琢磨して走ったコースの勝負どころは既に小数点以下の距離数で暗記しているため、去年の感覚とズレるのを防止するために計測開始地点ではなく、昨年のスタート地点でGarmin計測をオン。
まああと単純に昨年の自分と比較したかったってのもあるが。
自分は全体の2列目あたりからスタート。
今回は知り合いの『開闢(カイビャク)の帝王』こと他年代別のビッグレース優勝経験者に朝たまたま会って開始もほぼ同時スタートだったので、途中万座ハイウェーへの分岐手前くらいで声かけて連れていってもらうことに。まあ自分も後でその人の勝負どころでは前引くんでWinWinってやつね、うむ。
ハイ、『偶然もチャンスに変える生き方が好きよ~♪』ですね。
この人の参加も正直自分には文字通り?追い風だったと思います。
いやーただでもこれがまた引きがエグいんですわぁ~
パワーメーターつけてなかったから実際わからんがしばらくの間300w超出てたんじゃなかろうか。振り落とされるかと思った。。。
途中平坦の引きはさすがの一言ですね。
第一給水所までに3km、4km、5km(あw今回200m短くなってるけどもw)とそれぞれ平坦近くなるところがあるんですが、この辺りが一番つらかったかもしれんw
そして途中急激にペースが落ちる。
見えたで先頭。
ここが一番ゴールに近いところや・・・
と口には出しませんが、男の背中で語ってくれました。
【シーン3】第一給水所~第二給水所
開始15分ほどで集団合流。
そして集団の先頭に大本命を確認。
とりあえずここまで引いてもらって有難いと思い、自ら進んで帝王の前に出る。
間には何人かいて、自分がたぶんこの人たちが先頭集団作るだろうな~と思ったメンメンが並んでいる。
ここまで読んでいたというのか・・・!?
ハイ。
いやwだいだいヒルクライムの上位陣ってメンツ同じな気がするしねw
ただ先頭を走る様子を見てレース前に思っていたある疑惑が確信へと変化。
おそらく集団のスピードはこれ以上あがらない。
というのも嬬恋ヒルクライムは普段自動車専用道路なのだ。
まさに大会キャッチコピーの「1年に1度万座ハイウェーがヒルクライムコースになる日」のとおり試走ができないのである。
つまりは記録上初参加(と思われる)の彼はこれが初めて走るコースなのである。
まあ、どうにか7km付近の料金所までは無理して自転車でくることも可能みたいだが。
フフフ・・・
だが、しかし
その『料金所』とやらは先ほど過ぎた・・・
情報量という意味では彼我の差は圧倒的なのだよ。
皆さんも何の情報がないまま、いきなり「今日はガチ練だ!」などといってゆるポタライドと思いきや何が起きるかわからない高強度練習がはじまるのと、
はじめ300wを1分でそのあと180wのアクティブレストを3分、400wのスプリントが30秒あって、そのあとまたレストが5分...といったまるでZwiftのワークアウトメニューのように全体の内容がはじめに一目瞭然で表示されていた場合とでは精神的余裕がダンチなことは容易にご理解いただけるであろう。
昨年上位集団で走ったからこそ得られる己のみの決定的なアドバンテージ。
経験の差。
これが自分が持つ逆転の一手でもある。
途中コースの見極めによる圧倒的初動の差により、少しづつ、だが着実に他の人を抜き去り、どんどん前へと出ていく。
気づけば集団2番手。
大本命の後ろに自分だ。
振り返られやしないか(もし仮に相手が自分と同じ年代別選手をマークしていたらバレる)ヒヤヒヤしたが、特に後ろを気にする様子もない。
というか、これもレース中に感じたことなんだが、
この先頭集団内に大本命の知り合いもしくは協力体制の仲間がいる。
春先のレースでチーム戦に出ていたところまでチェックしているので(情報社会って怖いよね)、おそらく協力相手はあの人。
まあここまで私の勘で今さら確かめようがないのだが、動きに違和感があったと思ったのは確かだ。
それでアシストとまでとは言わないけど、相手をトスする(使い方あってる?)意識が働いている感じがした。
それなので他の事にはあまり意識がいってなかったように感じる。
こちらをノーマークにしてくれるならそれは大変有難いこと。
このまま後ろにつかせてもらう。
卑怯とかではなく、これは戦略的待機である。
『格上相手にわざわざ苦手分野で戦ってどうする?』
有難い。師匠の言葉だ。
ここでうかつに前に出れば相手にチェックされ、こちらが地力の差で負けることは明らか。
ハイ、自分の得意分野に持ち込むべきですよね、センセイ。
決して相手を舐めない。
闘志は必要だ。だがそれは秘めろ。
状況に酔うな、プラン通りに。
ちなみに自分は後ろチラチラ見ながら誰が着いてきているか何回か確認してました。
開闢の帝王めっちゃ張りついてきてるよw
コースを一度走ったことがあり、競争相手が初見であるという情報がいかに心の余裕を生むか実感した瞬間でもあった。
【シーン4】第二給水所~ゴール
第二給水所では集団のスピードがそれほど速くないこともあり余裕もあったので、八方ヶ原に続き、手渡ししてくれるので給水を試みる。
水うめぇwwwwww
・・・・おっといけないここは勝負どころだった。
昨年先頭集団に置いていかれた第二給水所地点過ぎ。
なぜ勝負どころか。
給水所過ぎて14~15kmあたりがちょいちょいきつい勾配が出てくるというのは半分正解といったところか。
この嬬恋ヒルクライム、平均勾配が5.1%となっており、わずかだがあの"ロードレース"と揶揄される富士ヒルクライムより勾配が緩いのだ。
そしてコースレイアウトをみると、このコース約20kmのうち残り3kmほどは緩やかな登りと平坦基調。
平坦で他の選手を突き放すのはなかなかに難しい。
そう、最終局面は差が出ないのだ。
なのでこの登りで勝負する。
最後の人数を減らしたいと思う選手はペースアップを図る。
弱者の振るい落とし。
私がクライマーであればここの加速は後を考えれば必然である。
(去年はそこら辺まで考える余裕なくて全然わかんなかったけど・・・)
しかし、なんかかっこよく予想してみたところで実際はそんなにもペースアップしなかったような。←オイw
ただこの意図に気づき、ペースアップをした・試みようとした選手には「あーこいつわかってるわー(上から目線)」とチェックを外さないようにした。
そして中盤の勝負どころを越え、いよいよ最終局面。
しかし前述したように残り3kmの地点で大本命の真後ろのポジションを死守していた私はここでほぼ勝利を確信。
油断ではないが、あとは詰将棋のようなものである。
前回ラストの八方ヶ原でのスプリント。
エキスパート勢やブリッチェン選手からすればヘボスプリントだったかもしれないが、自分の中で少し手応えがあった走りであった。
総合上位陣は無理でもおそらく年代別選手の間では通用する(≠勝てる)のではないか。
勝てはしないが負けもしない。
スプリントは最大出力がものをいう。
ヒルクライム界で絶対正義と思われるパワーウエイトレシオ(w/kg)がひっくり返る唯一の瞬間。マジックアワー。
体格では自分の方が勝(まさ)っていたことは明らかなので、後方からノーマークで万全の状態で発射すれば、どんなに軽やかに登るクライマーでもその差が離れることはない。
そう、勝てはしないが負けもしない。
誰にも負けなければそれはヒルクライムでは優勝と同義である。
そんな思惑があり、相手のギアチェンを――精神を研ぎ澄まし――ただその音だけを静かに待っていた。
ラスト700m、登り切りの手前、最後にチラッと後方確認。
めっちゃ後ろおるwwwww
これは熱い集団スプリントの予感。
そして、遂にその音がやってくる―――
カチャ...
今だ。
全開。
勝たなくていい・・・!!
が、負けない・・・・・!!!!!
ラスト500mほどでのロングスプリント気味だったであろうか。
400m...
350m...
300m...
・・・!!!
残り300mほどだったであろうか。
左に大きく曲がり、最後結構きつめの登り坂スプリントなのだが
ひび割れ!
まずい・・・!!
ここで落車はできない!
外へ!!!
カーブの入り口にある道路のひび割れに気を取られ、本来ゴールへと真っすぐ向かうべきライン取りが大きく外に膨らむ。
登りへの初速が一瞬ゆるんだことにより、結果として大きくスピードダウン。
しかもスプリント体制に入っていたこともあり、踏み直すにしてもギアがかなり重め。
失速する―――
こんときはヤバすぎて脳内アドレナリンオーバーフロー状態でした。
そしてさらに右から鈍いギアチェンの音が聞こえ、フル加速。
自分が抜かれる。
(この人はよく覚えてないけど単純に速かった)
さらに後ろから風を切る数多の音が聞こえ始める―――
「・・・それでどうされたんですか?」
「そりゃ踏むしかないですよ。前に相手が見えてるんですもん。ペダル激重でしたけど。」
ハンドル荷重でバイクを揺さぶるスタイルからペダル荷重に切り替え、スプリント筋(謎)をペダルを回すことに総動員する。
「それなりには加速できましたが、何人かには最後刺しこまれたと思います。これが個対個ではなく、対集団だったら僕のボロ負けでしたね笑」
ゴール直後は、不完全燃焼感が満載で倒れこんでいた。
「最後届いたかどうか微妙だな・・・いやマジで」
とりあえずゴール地点で飲むもの飲んで食うもの食ってみたものの結果が気になってしょうがない。
ちょっと先へくだり預け荷物受け取ってみたものの、
「やべ・・・スマホ、車ん中だ」
結 果 が わ か ら な い
とそこへ、最後抜群のスプリントで刺しこまれた開闢の帝王が結果を教えてくれることに。
4秒差だね。
おめでとう。
マジで不安だったんで画面まで見せてもらい、数字を確認。
どうやら本当らしい。
優勝だ。
いやおそらくだけども。
こんときは震えてました。
ちなみに天気は晴れでした。
下に降りて、ダラダラと着替え等の準備をし、出された速報を見てみると
間違いない。
年代別優勝。
てっぺんだ。いやエキスパートとか他年代別とかあるけども
嬬恋ヒルクライムだからこそ勝てた。
去年2位だからこそ勝てた。
他自分に有利ないろいろな要素(ラッキー)が加わっていたと思う。
3位の人とかノーマークでしたね。あぶねー。
「もう終わりか・・・」
なんか急に感傷的になって悪いが
振り返ればあっという間のレースだったのだ。
「まあ楽しかったからそれでいっか」
ちなみにスタート地点から図ったGaminは50分01秒を記録。
昨年比でも純粋に2分ちょい早く、成長を感じられた。
↓は表彰式の様子。
他者へのアピールも欠かさない、エンターテイナーの鑑ですな。
あーなんか今回いつもと違う感じで記事を書いてしまった。
正直、ここまで細かく?書くか悩んだが、とりあえず生?の気持ちを優先し書き留めておくことにした。
ただ、自分が嬉しさのあまりいろいろなことを勘違いし、事実と間違っていることも多々あると思う。その辺は許してほしい。
なんか急に有名になった人が守りに入る気持ち、今ならわかる気がします。
ということで最後はいつもの感じで。
今日は俺あえて前出なかったんだけど、気付いたやつ居る?
それではおやすみなさい...zzz