最強ヒルクライマーの最強ヒルクライム日記

赤城ヒルクライムを舞台に行われる最強のブログです

3/14(日)【2021茨城100kウルトラマラソンin鹿行】ブレイブメンロード

 

3月14日(日)

茨城県行方市某所

 

 

 

...ん?

 

 

 

...行方市

 

 

 

...ゆ

 

 

 

...ゆくえ市?

 

 

 

『なめかた』市な!

(※まだ間違ってます)

 

 

ちなみに茨城は『いばら"き"』な!!

 

 

 

 

《それでは大会委員長より挨拶がございます!》

 

 

 

《ピー・・・コホン、これより第3回茨城100kmウルトラマラソンin鹿行を開催致します!!!》

 

 

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『100km』と聞いて・・・・

 

 

すぐある予感が走った・・・

 

 

このレース運否天賦じゃない・・・

 

 

おそらくは・・・・

愚図が堕ちていく・・・

 

 

勝つのは知略走り、他人出し抜ける者・・・

 

 

 

 

 

2021年初レース

"茨城100kmウルトラマラソン"編

改め

"ブレイブメンロード"編

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圧倒的スタートっ!!

 

 

 

 

AM5:00

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まだ日も昇らぬ薄暗闇の中、スタートの号砲と共に参加者たちの頭につけたヘッドライトが一列の塊となり進んでいく。

 

 

参加人数は全体で300名弱

それが50人ずつ2分間隔のウェーブ方式でスタートしていく。

 

 

まだ暗いとはいえ、スタート直後いきなり飛び出す者も少なくない。

 

100kmという途方もない数字に感覚が麻痺しているのだろうか。

 

それともコロナ禍における久しぶりのレースとあってみんな浮き足立っているのだろうか。

 

どちらにせよ、一部の上位層を除き、皆このペースがずっと続くとは思えない。

 

 

なぜわからない!

 

100kmマラソンサブ10(10時間切り)は上位15%ほどの狭き門。

その平均ペースを1分以上上回るペースで"入る"なんて確実に脚を消耗し、そのツケは必ず後半やってくる!

 

 

大局的見地からみて

 

 

初めの10kmはウォーミングアップと割り切り、6:00/kmほどで入るべき!!

 

 

それは例えサブ10を狙うとしてもだ!!

 

 

 

 

 

『ほう・・・兄さんサブ10狙いでっか』

 

 

 

 

!?

 

 

 

コイツ(失礼)

俺の心の声が読めるのか!!?

 

 

 

『おっとそう警戒せんでもええ。兄さんの考えてることはよーわかる。"なぜサブ10狙いがわかったか"やろ?』

 

 

『簡単なことなんよ。

ウェーブスタートは申告タイムの早い順からゼッケンが与えられる。

第1グループスタート且つ2桁ゼッケンをつけてる兄さんは10時間以内の申告をしている可能性が高いっちゅうわけや』

 

 

『ワイはペーサーの"船井"(もち仮称)

大会側が用意した10時間切りのペースメイクをする、いわば100%参加者に寄り添った兄さんの味方や!

ワイを信じてついてくればサブ10はもう獲ったようなもんや!』

 

 

俺の名は"最強ヒルクライマー"

 

・・・今回の大会が初ウルトラマラソンだ。

 

 

『初ウルトラでいきなりサブ10狙いとは兄さんやるやないか!ちなみにフルマラソンはなんぼくらいで走るんや?』

 

 

3時間1桁分くらい・・・

ただそれは2年前の話だし、今は全然練習できて...

 

 

『凄いやないか!

ホンマあるかもな!

初ウルトラ初サブ10!

しかも初めての参加に感じられん!

見てみーや。

前をいく参加者を。

みんなありゃ始めから飛ばしすぎや。

100kmあるんやからコツコツいけばええ。

まあフツーはテンション上がって始めは飛ばしてしまうから気持ちはわかる。

しかし兄さんはそれをこの冷静な立ち振る舞い...』

 

 

よせよ・・・

そんなんじゃ...

 

 

『まあどちらにせよ、序盤はこんな感じでおしゃべりするくらいのペースで丁度ええ。

まだ気温も低いしな。体を温め...』

 

 

うるせえ!

 

俺は他の参加者と馴れ合うつもりはねえ!

 

それが例えペーサーだとしてもだ!

俺はごまかさねえ!

俺自身のため存分に"風除け"に使わせてもらう!!

アンタらをな!!

※ペーサーはお2人いました。本当はもっとフレンドリーで,周りに気をつかえる素敵な方々であったことを念のため加筆させていただきます。本当にごめん。

 

 

『ふん、まあ好きにしたらええ。

ウルトラマラソンの楽しみ方は人それぞれや』

 

 

などとという100%僕の脳内やりとりで序盤は進む。

 

 

レーススタートから約1時間

日が昇り始める・・・

 

 

⬛︎10km地点

時刻:午前5時56分

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0時間56分17秒(直近10kmLAP)

0時間56分17秒(累計)

目標:サブ10【3分リード

 

 

 

ここまで10kmを消化。

 

 

ペーサーのおかげもあり、その真後ろに図太く位置取る自分は5:45/kmほどのペースでテンポ良く軽快に進む。

 

 

自分以外にも5,6人がペーサーの周りについている状態だ。

 

 

日が差し込み始めるが、まだ肌寒い。

 

 

『おっ、ようやく"第一エイド"や』

 

 

エイドとはー

長いレースにおいて、参加者が途中で困らないよう運営側が用意してくれる飲み物や食べ物の補給場所である。

また、トイレも併設されることも多い。

本大会では5kmごとに設けられている。

(なんか公式HPの書き方だと前半5kmおき、後半10kmおきって感じだったけど、実際は後半も5km毎に必ずあったと思う。え、コレもしかして喋んない方がいい?)

 

 

しかし

最強ボク

第一エイドについては、ミネラルウォーターを口に軽く含む程度で、他のジュースやコーラ、塩分タブレット、チョコレートなどには見向きもしない。

 

 

しばらくは"コレ"でいい。

 

 

下手に水分を取り過ぎると、お腹がゴロゴロしたり、トイレに行きたくなってしまう。

また確かに計画的なエネルギーの補給は必要だが、早くから体のエネルギーを消化に使ってしまうと走る体力も奪われてしまうのが俺の持論だ。

何より補給に時間を使ってしまい、ペーサーという長い航海における羅針盤を失う(置いていかれる)ことは絶対に避けなくてはならない。

 

 

ペーサーは70kmくらいまでは後ろに着き続けたい。

 

 

そして、その後は・・・

 

 

フフフ・・・

 

 

 

 

⬛︎20km地点

時刻:午前6時54分

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0時間57分52秒(直近10kmLAP)

1時間54分04秒(累計)

目標:サブ10【5分リード

 

 

朝日が湖に映し出され、周囲はもうすっかり明るくなった。

 

20km付近のエイドを前に、なんとが出現。

 

(ツールドフランスかな?)

 

 

この大会は"北浦"と呼ばれる茨城県東部の湖の周りのサイクリングロード(車も通るから若干違う?)を中心に走るのだが、

このサイクリングロードという場所にが優雅に直立している光景は確かにシュールだが、ここはサブ10のため、ツッコミのさがを抑え込んでも反応してはいけない。

 

 

 

まあ、みんな一生懸命走ってるし、

こんなのに反応するやつがいるわけな...

 

 

ペーサー

『わー!!!

 

馬がいるー!!!

 

乗せてー!!!!!』

 

 

 

 

 

いや、お前が反応するんかーい!w

 

 

 

20kmという超序盤でいきなり選択を迫られる。

 

馬に反応したペーサーを待つべきか、

意に介さず進むか。

 

 

脳が決断するより先に身体が前へと動く。

 

そう、ペーサーを置いていく。

 

 

正気か!?

ペーサーを失うんだぞ!!

 

 

いや大丈夫だ

彼らも役割は理解しているはず。

必ず追いついてくる。

 

 

となれば、ここはペースを一旦緩めるチャンス。また時間が余ればエイドでトイレに寄る時間を作ることもできる。

 

 

直後のエイドでもまた水を口に含む程度。

極力短時間で済ませ、誰よりも早く再スタートを切る。

 

あまり脚を止めすぎると脚が硬直して動かしにくくなってくるからな。

ここは後半も見越して、走れるうちに走ってしまった方がいい。

 

 

 

あくまでクールに、だ。

 

 

 

⬛︎30km地点

時刻:午前7時54分

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1時間00分32秒(直近10kmLAP)

2時間54分36秒(累計)

目標:サブ10【5分リード

 

 

 

 

『兄さん・・・やるやないか』

※このキャラ設定でマジごめんなさい。

 

 

ゆっくり走っていた自分は、ペーサーに25km過ぎのエイドで追いつかれ声をかけられる。

 

丁度用を足したところだった。

 

 

『他の参加者を風除けにして、25km過ぎの向かい風区間をうまくやり過ごしたみたいやな』

 

 

 

クッ・・・

見られていたか・・・

※圧倒的クズ的発想!!

 

 

『なーに良くあることや。

このウルトラマラソンは何の遮る障害物のない湖畔を走る以上、風の影響をモロに受けやすい。

南下する前半は北からの追い風基調となるが、河口に向かう位置取りとなるときは、向かい風となって参加者に牙を向くかいな』

 

 

けっ

日本一"フラットな"コースの100kmマラソンとはよく言ったもんだぜ。

"フラット"といえば、一見すると走りやすそうで聞こえはいいが、箱を開けてみれば強風吹き荒れる難コースってことじゃねえか!!

 

 

 

『そういう見方もあるねえ。笑。ただ、後半の向かい風には気をつけた方がいい。アレは...』

 

 

そのためのアンタらペーサーだろ?

 

 

『・・・そうやったね』

 

 

このときの表情の僅かな変化を僕は見逃していた・・・

 

 

⬛︎40km地点

時刻:午前8時55分

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1時間01分03秒(直近10kmLAP)

3時間55分39秒(累計)

目標:サブ10【4分リード

 

 

(コイツ・・・なぜ補給を摂らない・・・)

 

 

ん?

なんか俺の顔についてるか?

 

 

依然として、ペーサー2人とその後ろにつく5,6人のパック状態で進んでいる状態だ。

 

(俺を風除けに使うコイツの体重はおそらく60〜70kgほど。いくら6:00/kmをやや切るスローペースとはいえ、1時間あたり600kcalほどは確実に消費するハズや。ここまで4時間経過。そろそろ限界のハズやが・・・)

 

 

チラッ...

 

 

補給食を携帯しているようにも見えん。

もしコイツがホンマもんのバカでこのまま補給を摂らずにいくと・・・

 

合計6000kcalの支出っ・・・!!

 

確実に"死ぬ"で!!!

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フフフ・・・

 

 

とんだ見当違いだアンタ・・・

 

 

心配には及ばないぜ・・・

 

 

その辺のカロリー計算は折り込み済みっ・・・!!!

 

 

 

ウルトラマラソンという超長距離を走るにあたって他のランナーはハンガーノックにならないよう途中エイドで食べ物をとったり、ジェルなどを携帯して適宜カロリー摂取に努めるだろう。

 

 

 

だが俺は...

 

 

 

俺は既に4000kcal摂取してきてあるっ!!!

 

 

 

 

『な・・・なんやと!?』

 

 

 

 

そう!この男、なんと起床してからずっとカロリーを摂取し続けていたのだ!!

 

おにぎり、菓子パンに始まり、飲み物はマルトデキストリンを溶かした超ハイカロリー飲食物のオンパレード。

 

極め付けはスタートの号砲が鳴る5分前まで食べ続けてチョコビスケット・かりんとう!!

 

 

 

4000kcal食うのはさすがに少ししんどかったが(ウプッ

 

 

 

 

あとは後半コーラでも飲んでおけば、カロリー計算上は足りるって寸法さ。

 

 

 

そう・・・

 

 

俺にカロリー摂取は必要ない(キリッ

 

 

 

いうなら隠し預金さ・・・

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おれ得意のな・・・!!

 

 

 

 

圧倒的コレがやりたかっただけ感!!!

 

 

 

 

さてとちょっとだけ真面目な話をすると

自分は40km過ぎくらいから左の足首に痛みと呼ぶには大げさだが、違和感は感じ始めていた。

 

ただここまで通常のフルマラソンのペースよりはだいぶ遅いのは事実なワケで。

 

自分は直近3ヶ月の月間練習距離が100km以下と他の参加者に比べたらおそらく練習などほとんどしていないレベルであり、今の実力はかなりオマケしてフルマラソンでサブ3.5ほどだと思うが、ここまでの6:00/kmを若干切るくらいのペースであれば比較的余裕があった気がする。

 

 

 

まあ苦しむために参加してるんだから

練習してない方がそういう意味では楽しめるよね!!

 

 

え?違う?

 

 

 

そうそう、40kmといえば、

フルマラソンではそろそろゴールとなる距離だが、ウルトラマラソンではまだ半分にも満たない距離である。

 

 

しかし

この辺り...45km過ぎくらいからペーサーに異変が生じる。

 

 

やたらテンションが高い。

 

 

なんというかヒャッハー状態だ。

 

 

 

これが"ランナーズハイ"か?

いやそれにしてもテンションが高すぎるような...

 

 

 

まさか...

 

 

嫌な予感がする...

 

 

口に出してしまったらここまでの均衡が全て足元から崩れ去ってしまうような...

 

 

ネガティブになるな、俺。

ただでさえウルトラは距離が長いんだ。

いい加減な気持ちで走るな。フォームに集中しろ。

フォームが崩れて体のどこかに痛みでも出てしまったら大変だぞ。

 

 

相変わらず彼らをペースメイカー兼風除けとして最大限活用させていただく。

サブ10のためなら小さなプライドなどいらぬ。

 

 

 

 

⬛︎50km地点

時刻:午前9時56分

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1時間00分39秒(直近10kmLAP)

4時間56分18秒(累計)

目標:サブ10【3分リード

 

 

ようやく折り返しか。

50kmは確かに長かったがここまでは大きな問題もなく順調に来れたともいえる。

 

僕は練習・本番含めて42.195km以上走ったことはなかったので←えw

42km以降自分がどうなるかなーって思ってたが、スローペースなら案外いけちゃうんだなと正直思った。

 

 

ぶっつけ本番にもほどがあると思う。

 

 

ただ練習で60kmとか70kmも走っちゃったらさ、それウルトラマラソンの"苦しさ"とか"辛さ"みたいな醍醐味が奪われないか不安だったんですよね←そっちw

 

 

僕は最強ポジティブ人間なので

練習など積まなくともイケるという根拠のない自信はバリバリなんでね!!!

 

 

ただね、

実際長い距離を走ってみると

 

 

冷静に考えて100kmって頭おかしくないか?

 

 

と本番中に思った。

 

108回くらい思った。

(人間の煩悩の数と同じですね!)

 

 

というか、言っていいか正直迷うが、景色がほぼ湖だけでめちゃくちゃ飽きる

 

飽きることに飽きる。

長すぎて。

 

ただもう50km走っちゃったし、ここでやめるのもったいないんで、まあいっとくか〜みたいな惰性で走っている感じだよね。

 

 

話はレースに戻り、50km地点エイド。

 

 

さてと、さっきは強がってみたもののバナナくらいは食っておくk...

 

 

『ほな、ワイらはここで』

 

 

 

モフッ・・!!?

(※バナナを口に頬張った状態)

 

 

 

『あ、そうそうワテらペーサーは50kmで交代なんや。あとは頑張るんやで(ニッコリ』

 

 

 

な、なんだとっ!!?

 

 

 

ふざけるなっ……!

てめえっ………!

んなこと通るかっ……!

 

走れ………走り切れ……!

汚ねえぞっ……!

ここでゴールなら………

なんのために……

なんのために一緒に走ってきたんだ…!?

なんのために……!?

許せるかっ………!

許せるかよっ……!

そんなペテン……!

 

 

約束したじゃねえか!※してません

〝ゴールまで一緒に走ろう〟って!!

 

 

『だからワイらの"ゴール"はここなんや。

約束はしっかり果たしとる』

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※絶望のイメージ

 

 

アーロン!

アーロン!!

アーロン!!!

 

 

 

『ほら〜はよ行かんと後半のペーサーに遅れてしまうで〜』

 

 

 

チキショウ・・

 

チキショウ!!!

 

 

俺たちがここまで過ごした時間は嘘だったっていうのかよ・・・

※9割風除けに使ってます

 

あの楽しかった会話が全て嘘だったっていうのかよ・・・

※だいたい自分が一方的に喋りかけてました

 

 

 

・・・行こう。

 

 

行くしかねえ。

 

 

切り替えろッ!!

 

 

"サブ10"のためにっ!!!

 

 

※繰り返しますがペーサーの方たちは実際はとても良い人たちでした!こんなメチャクチャ書いて言うのもアレですが凄い感謝してますよ!!

 

 

 

⬛︎60km地点

時刻:午前10時55分

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0時間59分07秒(直近10kmLAP)

5時間55分25秒(累計)

目標:サブ10【4分リード

 

 

ハッ・・・

ハッ・・・

ハッ・・・

 

 

クソっ・・・

 

 

どうしてこうなった・・・

 

 

なぜ・・・

 

 

なぜペーサーについているのがしかいないっ・・・!!!

 

 

 

 

50km地点まではペーサーの周りに5,6人の集団がいたはずだが、

その後1kmも過ぎぬまま集団は崩壊

 

 

気がつけば後半のペーサー3人に自分が1人後ろに着くという異常事態っ・・・!!!

 

 

 

・・・確かに"入り"が速かった。

 

 

ただまあこれは無理もない。

 

50km走ってきた人間

これから走り始める人間

 

 

サブ10の目安となる6:00/kmというペースは、普通のランナーにとってはLSDとも呼ばれるようなスローペースなのだ。

 

 

後半ペーサーが入れ替わり、はじめの1km(51km)の計測が俺の手元の時計で約5:00/km

 

 

ここまで5:55/kmほどのペースを淡々と刻んできた俺たちにとって、50kmを過ぎてからの1分近い加速はついていけないのも無理もない。

 

 

 

というか、この最強のでさえ

 

 

 

ちょ゛っと゛ペースはやいんで

 

 

ゆ゛るめ゛てもらって゛いいですかぁあああ゛

 

 

と鼻水垂らしながら(←汚い)ペーサーの方に無理言ってペースダウンしてもらった。

 

 

うん、というか立て続けに3回くらいペースダウンお願いしたと思う。

※完全に私物化してすんませんですわぁ...

 

 

申し訳ないとか嫌われるとかなんだコイツと思われるとかそういうこと気にしてる場合じゃないと思ったんですねえ、ハイ。

 

 

 

俺みたいな凡人がウルトラマラソン界の名誉と呼ばれるサブ10を獲得するための道は二つだけ

 

現実を直視して独り黙々とペースを刻むことだけを考えるペシミスト(悲観主義者)


初ウルトラじゃサブ10など絶対不可能だと考えなしに叫び続けるドリーマー(夢追い主義者)

 


俺はどっちにもならない

 

 

現実にする

 

 

必ず初ウルトラでサブ10を獲る

 

 

どんな手を使ってでも・・・!

 

 

 

いや、練習しろよ。

 

 

 

まあ、とにかく

ここで風除け...ゴホン...ペーサーを失うわけにはいかないんですよ

サブ10のためには!!!

※超個人的発想

 

 

いやね、というかね

僕がここで離脱してしまったらペーサーに着く人誰もいなくなっちゃうんですよ

 

 

ほら、もったいないじゃないですか(白目

 

 

 

しかし、

ペーサーに着くうえで少し代償を払った。

 

というのも今回、自分はオーバーペースにならぬよう時計にペース上限のアラームを仕込んでいたが、

50kmペーサーの入れ替わり時にはそれが鳴りっぱなしだった。

 

 

そもそもペーサーにペースダウンの話をもちかけるのには、会話するためにペーサーに並ぶところまで追いつかないといけない。

 

 

その際、ペース上限アラームは一瞬だが4:40/kmという驚異的な数字を警告していた。

 

 

もしかしたらこの多少の無理が後々響くことになるかもしれない。

 

 

ペーサーから離れ、6:00/kmペースを自分で維持するという選択肢もあったかもしれない。

 

事実、他の人はペーサーから離れている。

 

 

ただ俺は後半の向かい風を考慮すると、多少無理してでも着いていくべきと判断した。

 

 

しかし・・・

 

 

チラリ...

 

 

手元の時計を見ると5:40/kmを切るペース

 

 

5:55/kmからわずか15秒ほどのペースアップがここまでキツく感じるとは。

 

 

"お願い"は既に3回してしまっている...

(ドラゴンボールかな?)

 

 

これ以上のペースダウンの要求は信頼関係への影響を考慮すると避けるべきか...

 

 

しかも50km過ぎのこの向かい風の中をこのちょいハイペースで引いてくれるのは"サブ10"という観点から見ればこれほど心強いことはない。

 

 

さて・・・

 

 

この選択が吉と出るか凶と出るか・・・

 

 

 

最強ボク

50kmを過ぎ、意図せずスピードアップ。

 

 

 

 

⬛︎61km地点

時刻:午前11時過ぎ

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あ、僕落ちます。

ここまでありがとうございました。

 

 

北浦を超えて利根川に差し掛かる手前、

60kmの息栖神社を折り返し、突然ペーサーに別れを告げた。

 

 

 

同時に

 

 

よいしょっ。

 

 

ドテッ

 

 

河原の堤防に腰掛ける。

 

 

 

"それ"は急に来た。

 

 

脚は確かに重たかった。

重たすぎるほどだ。

 

そりゃそうだ、今まで60kmなど走ったこともないのだから。

 

ただこの脚の重みも足首の違和感も足裏の土踏まずの圧迫感もどれもまだ我慢できる。

 

 

 

問題は...

 

 

 

コイツだ。

 

 

 

靴擦れ(英:shoe sore)

 

 

 

靴とかかとが擦れる度、

そう、右足を前に出す度に毎歩痛みが走る。

 

 

事前に60km走しとけ、とかよく言うけど、体力的な問題じゃなくてこういうトラブルも想定できるよってことなのね。笑

 

 

妙に納得してしまった。

 

 

そういやワセリンを靴に塗っとけとか紹介してたブログなんかも前に見たっけ。笑

 

 

今、思い出しちゃったよ。笑

遅いっつーの。笑

 

 

えーと、もうこれ以上走るのは無理として

リタイアするかどうかかー

 

 

うーん、どうするかなー

 

 

あれ?

そもそも制限時間って12時間だっけ?

14時間だったかな?

 

 

(周りキョロキョロ)

 

 

おっ、ちょうど看板あるじゃん。

 

『この道路では令和3年3月14日(日)に茨城100kウルトラマラソンin鹿行が開催されます。

近隣の皆様にはご理解とご協力をお願い致します。

 

 

開催時間:午前5時〜午後7時

 

 

なるほど。

午後7時まで、つまり制限時間は14時間ってことか。

 

ここまで60kmをサブ10ペースで6時間で来たから、残り40kmを8時間か。

 

えー

10kmを2時間で進めばいいんだから。

12:00/km(時速5km)ペース。

 

おっ。

早歩きなら完走はイケるじゃん。

 

 

 

残り歩いても大丈夫。

 

とりあえずこの事実を知り、一安心。

 

 

 

そして、次はコイツ(靴擦れ)か

 

 

ふーっ

 

仕方あるまいっ・・・

 

 

 

ギッ・・・!!!

 

 

 

【10分経過】

 

 

 

モブ観客①「オイ!いきなり座り出しちまったあの兄ちゃん、また歩き出したぞ!」

 

 

モブ観客②「でもさっきの様子じゃ相当痛そうな靴擦れだったハズだぞ!足を引きずってたんだぜ?あの傷(靴擦れ)でそんな直ぐに歩けるわけな...」

 

 

 

最強ボク

『マスクで塞いだ!!』

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『衛生観念的にマスクでテーピングするのはどうかと思ったがな。完走のためだ。ゴールした後のことはそのとき考えるッ!!』

 

 

といった圧倒的閃きッ!!により最悪の窮地を脱出。

コロナ禍でマスクを持ち歩いてて良かったと思えた唯一の瞬間かもしれない。

 

 

 

ええ

素直に絆創膏を持ち歩いた方がいいとは思いますよ。

 

 

 

だが今は無いものねだりしてもしょうがねえ。

 

 

1番近いエイドはさっき通過した60km地点。そこまで戻るという選択肢は(メンタル的に)無い。

かといって歩けなければここでお陀仏だ!

 

 

正直痛みはあるが、なんとか歩ける。

 

止まらなければいつかきっとゴールには辿り着く。

 

 

トボトボと歩き始める。

 

 

 

ただ情けない話だよな。

 

ウルトラマラソンに練習なんて必要ないなんて豪語しておいて、このザマじゃ。

 

 

「だから事前に50km以上のロング走しとけって言ったじゃん。言わんこっちゃない」

 

 

「ウルトラの練習量は最低月間250km以上!正直ナメないで欲しいのよね」

 

 

 

ハッ。笑

批判も折り込み済みってね。笑

 

 

そんなんじゃ俺はへこたれな...

 

 

 

\頑張ってください/

 

 

 

\頑張れぇ!/

 

 

 

\足、大丈夫ですか/

 

 

 

\ふぁいと〜/

 

 

 

なんでだろうな。

どんなキツいことを言われても大丈夫な強メンタルな人間でも

優しくされた方が涙が出るのは。

 

 

 

まったく、救えねえヤツらだ・・・

 

ウルトラマラソン参加者は頭おかしいとか言われるが全くもってその通りだよ

 

 

自分らだってあと40km近く残ってんだぞ?

 

 

絶対足とか痛いところあるハズだろ?

 

 

人の心配してる場合かよ

 

 

ったく、こっちはお前らを単なる風除け扱いしていた極悪非道人だってのによ...

 

 

 

 

さ〜てと

 

 

ちょっと疲れたから足痛いふりして歩いてたけど、そろそろ走り始めるかな〜

 

 

俺より遅い人たちにこれ以上心配されるのもなんか癪だしな〜

 

 

 

 

あのさ、イソップ物語に『ウサギと亀』ってあるだろ。

 

 

物語ではウサギは勝負の途中で寝ちゃったことになってるけど、

 

実はウサギは足を怪我してたんじゃないかなって思うんだ。

 

本当は怪我したって言いたいけど、変なプライドみたいのが邪魔してさ、言えなかったんじゃなかったのかなって。

 

だから"寝てた"なんてありえない嘘ついたんじゃないかな。

 

 

 

※そういう話ではありません。

教訓ですからねアレ。

 

 

 

足が痛い?

 

 

→痛くない!

 

 

痛い?

 

 

→痛くない!

 

 

 

...痛い?

 

 

 

→やっぱりちょっと痛ぁい!!!

 

 

 

 

いや、呑まれるな!

 

 

靴擦れの痛みは脳が創り出している幻!

 

体の悲鳴を感じとって、注意を喚起させるための単なる信号!

 

 

それはそうだ

今までやったことのないことをやろうとしてるのだから

 

 

凄く当たり前のことなんだ

 

変化、未体験、恐怖心

 

 

人はできなかった記憶を振り払って進んできた

 

 

今までだってそうしてきた

 

歩くことだって、できたってことなんだ

 

 

その積み重ねが走るってことなんだ

 

 

自然にできたわけじゃない

 

 

やり遂げてきたんだ

 

 

ここまでの60kmの道のりでさえ一歩ずつやりとげてきたんだ

 

 

はねのけ!

逆らって前を見ろ!

真波山岳!

 

 

イケるハズだ!

俺が今イケるって感じてるんだから!

 

 

信じていけ

苦痛を乗り越えて

 

 

次のステージにいく力は自分の中にあるっ!!

 

 

(あーあ、真波山岳って言っちゃったよ...)

 

 

 

 

 

走れるッ!

 

 

実際コツを掴んだ。

 

 

身体を捻りながら、両脚をクロスさせ、さらに本来体の真下が理想とされる着地をあえて前方に持ってくることで、シューズと足首の接するポイントをズラし、既存の靴擦れの箇所に摩擦を起こさないようにする。

 

 

 

先のウォーキングしていた時間からヒントを得た...

 

 

名付けて...

 

 

 

デューク式ウォーキング走法!!

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もしこれが練習だったら『足が痛いから』で走るのを辞めていただろうな。

 

また新たな自分の可能性に気づいてしまった。

 

 

ただこの『デューク走法』は既存のフォームをグチャグチャに崩したうえに、さらに重心の位置までズラしている無茶苦茶な走り方だ。

 

 

走れることには走れるが

この走り方だと7:00/kmペースがやっとか。

 

 

まあただ歩くよりいい。

痛みもほぼない。

 

 

河原で止まっていた時間歩いていた時間が合わせて30分くらい。

 

 

ここまで約6時間30分が経過している。

 

残り38km(2kmくらい歩いた)を7:00/kmペースで進めれば、11時間切り(サブ11)は充分達成可能!!

 

 

 

???「さすがに初ウルトラでサブ10は無理か。仕方ない。

ではコッチ(サブ11)をもらうとするかのう」

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麃公将軍ー!!!!

 

 

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ハイ!

サブ11絶対に獲ってみせます!泣

 

 

⬛︎70km地点

時刻:午後12時22分

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1時間27分00秒(直近10kmLAP)

7時間22分25秒(累計)

目標:サブ1022分オーバー

あらためサブ11残り30kmを7:00/kmペースで7分リード

 

 

 

 

 

どれだけ時間がたった・・・

 

 

 

なぜ周りに他の参加者がいないっ・・・

 

 

歩いていたときは、何人にも抜かされたが、さっきから前にも後ろにも人が見えない。

 

 

走りについては問題はなかった。

先ほどのとおり7:00/kmペースを淡々と刻めている。

新たに定めたサブ11でゴールしようという小さなプライドが、体の奥から響くような全身の鈍い痛みを抱える俺を支えていることは間違いない。

 

 

 

おそらく"スポット"に入ったのだ。

 

 

 

ウルトラを淡々と走りきれる人は僕が歩いている間に先に行ってしまったし、走りきれなかったり、スローペースで進む人はこの7:00/kmというペースには追いつかないだろう。

 

 

前には追いつかないし、後ろにも追いつかれない。

 

見渡す限り誰もいない。

 

 

正直コースを間違えたと不安になるくらいだ。(たま〜〜〜にいる交通誘導係の人をみて安心するレベル)

 

 

 

一人だ。

 

 

 

一人で黙々と風を受けながら進んでいる。

 

 

 

これがウルトラマラソンというものなのか。

 

 

いやウルトラマラソンに限らないのかもしれない。

 

 

人生は一人だ。

 

 

どんな困難があっても究極的には一人だ。

 

 

誰も代わってはくれない。

 

 

結婚して生涯寄り添うって言ったって、どちらかが死んじゃえば残された方は結局一人だ。

 

 

 

やべやべ。

 

いや、本当に人が会えなくて

哲学極めるレベルだったのよ。

 

 

しかし、そんな哲学に答えなど出ることもなく、次なる問題が・・・

 

 

まずい。

 

腕が痺れてきた。

 

いや、問題はそこではない。

 

何よりまずいのが80kmを目前にして急激に空腹を感じ始めている。

 

 

腕の痺れは脱水か?塩分不足か?

 

 

 

4000kcalの事前摂取はサブ10が前提だったからな...

 

 

 

うーむ、

次のエイドまで持つか?

 

 

いや次のエイドまでたどり着いたとしてこんな80kmも走ってきて、残り20kmを走るためのエネルギー(約1000kcal)を摂取できるのか?

 

ウルトラでよく聞くのは消化器官系にダメージを受けて、何も食べられなくなったり、酷い時には吐いてしまうことだ。

 

俺の胃腸は大丈夫だろうか

いや、無理してでも食べないとまずい。

空腹を感じることが既にヤバい状態なはずだ。

 

 

 

心配だが、次のエイドでは一か八か食べてみるしかないだろう。

 

 

⬛︎80km地点

時刻:午後1時36分

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1時間14分10秒(直近10kmLAP)

8時間36分35秒(累計)

目標:サブ11【残り20kmを7:00/kmペースで3分リード

 

 

 

80km過ぎエイド

 

 

 

最強ボク

「タコ飯おにぎりうめぇwwwww」

 

結果:胃は全然大丈夫だった

 

 

贅沢をいえばすぐエネルギー化されるバナナが欲しいところだが、まあこればかりは仕方ないだろう。

 

その後、個包装のチョコレート菓子を10個ほど食べ続け、ついでに塩分タブレットペプシコーラで流し込む。

 

 

 

これで最後までエネルギーは持つだろう。

 

腕の痺れもとれたようだ。

 

それにエイドに5分ほど留まっていたら、さすがに他の参加者にも追いつかれた。

 

 

 

「あの前方に見えてる橋を渡るんですよね。」

 

 

「結構遠く見えますねw」

 

 

 

人がいるってことが安心する。

 

 

 

よし、いくか。

 

補給のためとはいえ、ここに多少留まったことで7:00/kmペースでのサブ11が本当にギリギリになりつつある。

 

残りのエイドのいくつか飛ばさなければならなくなりそうだな。

 

だがサブ11は絶対だ!

10時間台でゴールするというこのモチベーションを無くしたら本当にお終いだ。

 

 

走り始める。

 

 

しかしスタートして間もなく、今日これまで一番の風が吹き荒れるッ!!!

 

 

突風ッ!!!

 

 

 

この風はまずいっ!!!

 

 

ペースがみるみる落ちていくっ!!

 

 

7:30/km...

 

いや8:00/kmまで落ちてやがる!!

 

 

湖の"東側"を進むこの帰りのコース取りは、湖によって遮蔽物がなくなっている西風の影響をモロに受ける!

 

 

前を向くことができないッ!

 

下を向いて体を小さく丸めて、風の影響をなるべく小さくすることくらいしかできないッ!!

 

 

 

ふっ...

 

 

ふと下を見て

 

 

足元を見てみればなんだコレは。

 

 

まるでジイさんだな、このヨチヨチ歩きは。

 

 

 

こんな進み方じゃ当然サブ11なんてのは無理。

 

 

 

もう時間もない・・・

 

 

ひどい……!


ひどすぎるっ……!


こんな話があるかっ……!


命からがら………
やっとの思いで…
80km地点まで辿り着いたのに…

 

やり遂げたのに……

 


突風っ……!

 


あの風がもぎ取ってしまった

 


せっかく手にした


俺の未来…希望…


サブ11をっ……!

 

 

 

仕方ない・・・

 

目標をさらにサブ11.5に下降修正しよう・・・

 

 

正直サブ11.5は言葉の響き的にも微妙だがもう俺には何かにすがるしか・・・

 

 

 

最強くんの目標は「サブ11」だったんじゃないのか…?

ほんのちょっと風が強くなったくらいで

もう降参か…?

あ~~~~ん……?

 

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うるせえ!利根川ッ!!

 

 

俺の脳内から出ていけッ!!!

 

 

 

しかしサブ11という目標を失った最強ボクがその後ペースが上がることなどなく、むしろズルズルと下がり続け、気がつけば8:30/kmまで落ちていた。

 

 

 

ハハハ・・・

 

 

 

なんかもうどうでもいいや・・・

 

 

 

ビルの上には ほら月明かり

 

 

抱きしめてる 思い出とか

 

 

プライドとか 捨てたらまた

 

 

いい事あるから

 

 

 

俺『涙の数だけ強くなれるよ〜♪』

 

 

 

いやお前が歌うんかーい!!

 

 

 

ここにきて、突如やってきたランナーズハイ!!

 

 

普段から超ポジティブ人間の最強ボクにとってランナーズハイとは存在しない。

なぜならシラフで既にもうランナーズハイ状態だからだ!!

ランニングは苦しいもの、嫌なもの。

ランナーズハイなんて誰かが考えた言い訳!思い込み!

今までランナーズハイになったことなどないし、これからもなることはないと思い続けていた!!

 

 

しかしウルトラマラソン、しかも目標を失い、途中で逃げ出すこともできず、ただ走るしかないという極限状態において、それはやってきたのだ!!!

 

 

数分後...

 

 

 

ヘッドライト〜♪

テールライト〜♪

旅は〜まだ〜終わらない〜♪

 

 

 

い、意外と短いもんだな

ランナーズハイってのは。

(しかもペースは8:00/kmのまま変わらず...)

 

 

 

しかし物事は時間が解決することもある!

 

 

そう、ようやく辿り着いたのだ!

 

 

先ほどのエイドからはるか彼方に見えたはずの湖にかかるに!

 

 

この橋を渡り、反対側の岸にたどり着けば残りは15km

間違いなく最終盤であるッ!!

 

 

しかし、この湖橋(こきょう)全長1.5kmほどあり、真ん中が高くなったアーチ状の構造になってやがる

 

 

つまりは長い登りがあるってことだ...

 

 

この最終盤に登り...

 

 

登りがこれほど辛いとは...

 

 

 

ほぼ歩いているようなペース。

 

当然橋の上なので風も強く吹く。

 

 

 

これはサブ11.5も怪しいかもな。笑

 

いっそ完走狙いで後は歩いちゃうか...

 

 

 

 

・・・ん?

 

 

 

脚が進む・・・!!?

 

 

 

なんだコレは・・・!!!

 

 

 

そうか橋の真ん中まで来て登りが終わったんだ!

 

 

そして、登りがあるってことは・・・

 

 

 

 

くだりがあるってことだ!!!

 

 

 

 

そう最強ボク

くだりは大好物(と思い込んでいる)

長距離走は退屈で嫌いだけど、峠走はまあまあこなしている。

 

 

くだりで歩幅が広がる!

 

ピッチが上がる!!

 

 

ペースは6:00/kmを切るほどにっ!!

 

 

しかも

くだりのフォームなら靴擦れが痛くないッ!!

 

 

朗報ッ!!!

 

 

 

まあ、靴擦れは60km地点、3時間も前の話だもんな!もう関係ないよなぁ!!

(こうあらためて文字にするとウルトラマラソンってマジでイカれてんなぁ!!)

 

 

橋の真上を過ぎてくだりに差し掛かったところで残りの距離がちょうど15kmほど。

 

 

時計を見ると、ここまでで9時間20分!!

 

 

残り15kmで1時間40分!

 

エイドで立ち止まっちゃったりしたらギリギリかもしれんが、

 

ただ、残り6:00/kmペースで走り続けられればサブ11イケるってことだ!!

 

 

残りの平坦を"くだり"と脳に無理矢理認識させて、痛みの少ないくだりのフォームで走れば6:00/kmペースは可能!

 

 

自分を騙せ!

 

世界を騙せ!!

 

痛みを騙せ!!!

 

 

 

日本一フラットなコースが売りの大会で

"くだり"に救われるとは

人生は何があるかわかんないもんだな!!!

 

 

橋を渡ったエイドでコーラを一気飲み。

あと唯一持ち込んだメイタン200をここぞとばかりに注入。

体をカフェイン漬けに。

 

 

 

残り15km

 

 

くだり切る!!

 

 

 

⬛︎90km地点

時刻:午後2時52分

f:id:rollretasu:20210316152901j:image

1時間16分24秒(直近10kmLAP)

9時間52分59秒(累計)

目標:サブ11【残り10kmを6:00/kmペースで7分リード

 

 

ハッ・・・

 

 

ハッ・・・

 

 

ハッ・・・

 

 

時計チラッ...

 

 

【心拍数160】

 

 

ハッ・・・

 

 

ここまで10時間近く走ってきて

 

 

ハッ・・・

 

 

はじめて心拍見たけど

 

 

ハッ・・・

 

 

まあまあじゃん!!

 

 

 

 

ここにきて6:00/kmを切るペース。

 

 

これは速い(自社調べ

 

 

 

前にいた他の参加者が次々あらわれ、そして後方に消えていく。

 

 

どんどん追い抜いていく。

 

 

 

体が軽い

 

 

90km走ってたきたけどたぶん今が1番元気だ

 

 

あれだけ飽きた飽きたと言っていた変わらぬ湖の景色も華やいでみえるッ!!

 

 

あ・・・

でも正確には脚もウデも腹筋も痛いから

 

 

痛華やいでるって感じだ!!

 

 

コレ言いたいだけ多すぎィ!!!

 

 

 

風は吹いている

 

 

以前吹き続けている。

 

 

ただ湖の東岸を走ってたときに比べて、今は橋を渡ったから西岸

 

 

西風はいくらかマシに感じる!!

 

 

 

そういえば

 

さっき一瞬すれ違ったロードバイクの人...

 

たぶん前半ペーサーしてくれた人だ

 

『まだ全然余裕そうじゃん。がんばれ笑』

 

だって。笑

 

 

 

 

余裕じゃないよ...

 

 

60km過ぎで靴擦れで歩いたときだって

 

 

80km過ぎで向かい風に煽られたときだって

 

 

 

何度も心は折れそうになったよ。

 

 

でも前に進むことをやめなかった。

 

 

 

だから90km過ぎに走れてる今の自分がいる。

 

 

 

 

右足首の靴擦れだってホントはまだ少し痛むし

 

 

左足の足裏は土踏まずが痛いし

 

 

両腕はまた痺れてきたし

 

 

腹筋だって痛いし

 

 

呼吸だってちょっとつらい。

 

 

 

ただそれもあともうちょっとだ

 

 

この辛いのも痛いのも苦しいのも

あと少ししか味わえないんだ!

 

 

 

 

 

残り3kmを切る。

 

 

ここにきて

右足のつま先に違和感を感じる。

 

 

 

 

 

痛い。

 

 

 

体じゅうで悲鳴が聞こえるけど、いまは一番ここが痛いって俺に訴えてきてる。

 

 

 

これは・・・

 

 

右足の親指の爪がとれそうだ。

 

 

というか、もうとれてるかも。笑

 

 

 

ここにきて、まだあるのか!

まだ楽しませてくれのか!

 

ウルトラマラソンってやつは!

 

 

 

 

ただ、残念

 

この痛みが出るのが"あと5km早ければ"

 

俺をもう一度歩かせることが出来たかもね!!

 

 

 

 

足の指を全て丸め込み、固定してそのまま着地させる。

 

 

 

痛くもかゆくもないわ

 

 

 

こんなの・・・

 

 

 

あんたにウルトラの痛みがわかる・・・?

 

 

 

ここまでの道のりに比べたら

 

 

 

爪の1枚や2枚や3枚!!!

 

 

 

 

 

へのカッパ!!!

 

 

 

ドンッ!

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いや〜マジであれは危なかった。笑

 

 

 

そして、ホントにホントのラストスパート。

 

 

 

 

よし・・・

 

 

いかに周りに自分が(さも)余裕であるかをアピールするため、99kmを過ぎたらめちゃくちゃペースアップしてゴールしてやろう。

 

 

 

ピー・・・!!!

 

 

時計が鳴る!

 

 

99kmのラップが刻まれるッ!

 

 

 

よし、こっから全力疾走...

「あっ、ここ右に曲がったらゴールでーす」

 

 

 

え...

 

 

 

えぇ...

 

 

 

あ...ホントだ...

 

 

 

ゴールゲートある...

 

 

 

あ、係の人がFINISHの帯、引っ張って用意してくれてる...

 

 

 

あ、ゴールした...

 

 

 

これでゴール...なのか

 

 

 

 

 

「完走おめでとうございます!」

 

「お疲れですよね!こちらの椅子に座って休んでください」

 

「この中から好きな飲み物とってください!他に何か食べ物持ってきましょうか?」

 

 

 

 

...ってない。

 

 

 

「は?」

 

 

 

ま だ 1 0 0 キ ロ 走 り 終 わ っ て゛な い゛ぃいいいいいいい

 

 

「はあ↓」

 

 

 

走ります。

隣りの空いてる駐車場を。

あと700m。

 

 

 

 

俺のゴールはここじゃない。

 

 

 

係員の人がマジでこの人大丈夫か?って顔してたけど

 

 

 

いやだってね!

 

 

この後

絶対STRAVAにログあげるじゃん!?

 

 

このまま時計止めたら99.3kmとかになるじゃん!!?

 

 

 

なんかヤじゃん!!!??

 

 

 

いっぱい『Kudos(クードス』欲しいじゃん???

 

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※『Kudos』はギリシャ語由来の言葉で称賛や栄誉を意味する。日本語では『スゴイ!』と訳される。

 

 

 

うおおおおお!!!!

 

 

 

最後駐車場でアラーム鳴りっぱなし。

 

 

 

4:00/km台で走る。

 

 

 

ピー・・・!!!!!

 

 

よし、ゴールだ!!!

 

 

遂に走り終えたんだ!

 

自分の脚で!!

 

100kmという長い旅路を!!!

 

 

 

正直、豪華なフィニッシュゲートよりもこのGarminのスポーツウォッチのチャチな電子音の方が俺に達成感を与えてくれた。

 

 

⬛︎100km地点

時刻:午後3時53分

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1時間00分19秒(直近10kmLAP)

10時間53分18秒(累計)

公式記録(ゴールゲートまで)

10時間49分36秒※速報

目標:サブ11達成!!

 

 

 

ハイ、

満足したんで帰ります。

 

 

ありがとうございました!!!

 

 

 

そのときの僕は最高に満足げな顔をしていたのでしょう。

 

 

今なら良いポエム書けそうだ。

 

 

 

僕ら人間は

 

 

生まれながらの旅人だけど、

 

 

一人では、どこにも行けない。何もできない。

 

 

いつでも世界のどこかで

 

 

だれかがぼくを呼んでいて

 

 

仲間がそこに導いてくれる。

 

 

ぼくはただ、大切なものを抱えて

 

 

その扉(大会)が開かれるのを待っている。

 

 

 

 

いや最後ソレっぽいこと言えば、途中何言っても許されると思うなよ💢

 

 

 

いやしかし、

ありきたりなことを書かせてもらうが、

このコロナ禍で大会を開催するにあたって、多くの関係者の方々の尽力に本当に感謝します。

 

(うわっ急にまとめ入った〜)

 

 

途中のエイドで

 

「あっ、私ボランティアなんで大会の細かいことよくわかんないですよ〜」

 

と遠慮がちに言っていた女の子?も

 

 

アナタがいたから、アナタがペプシコーラのキャップを開けてくれて、オッサンの汚い飲み残しを片付けてくれたおかげで

 

俺はこうしてゴールして、"サブ11"だか"セブンイレブン"だかよくわからない自己満足と達成感を味わうことができたんですよ。

 

 

参加費払ってるからどーのとか当たり前を求めるつもりもない。

 

 

スタートしてからゴールゲートをくぐるまで

 

 

10時間49分

 

 

いろいろなことを考えるには充分だった。

 

 

長すぎるくらいだ。

 

 

 

他の参加者の方、朝早くから対応してくれたスタッフ、前半・後半のペーサーを務めてくださった方、エイドのスタッフ、交通誘導の方、道で応援してくれた近所のおばちゃん、おじちゃん、犬、みんなありがとう。

 

 

色んな人の支えや理解・協力があって

このウルトラマラソンという素晴らしい大会が開かれていることを充分過ぎるほど感じた。

 

 

 

それでも、なお

そんな方たちの気持ちを汲み取って、なお

 

 

 

言っておきたい、

 

 

いや

 

 

言わねばならないことがある。

 

 

 

 

 

ウルトラマラソンはマジでもういいわ』

 

 

 

大会に携わってくださった方

本当にありがとうございました!!!

 

 

そして

いろいろふざけてごめんなさい!!

 

 

 

 

 

お・わ・り。